第104回京都大学丸の内セミナー


重力波天体からのガンマ線バースト

平成31年3月1日(金)18:00より

井岡邦仁 (基礎物理学研究所 教授)






 アインシュタインが一般相対性理論を提唱して100年目の2015年9月14日に重力波が直接検出されました。2つのブラックホールの合体という宇宙の全く新しい姿が明らかになってきたのです。宇宙はブラックホールだらけということがはっきりしてきました。また、2017年8月17日には2つの中性子星の合体からの重力波も発見され、同時にガンマ線バーストなど、あらゆる波長の電磁波で対応天体も発見されました。まさに本格的なマルチメッセンジャー(多粒子天文学)時代の到来を告げる歴史的イベントになりました。観測されたガンマ線バーストは、これまで知られているものより何桁も暗く、ガンマ線バーストの正体が中性子星の合体だという40年来の仮説が本当に証明されたのかどうか、激しい議論が巻き起こっています。我々は、通常のジェットを横から見ているというオフ・アクシスモデルを提唱しましたが、最近それをサポートする観測が見つかってきています。

 本セミナーでは、重力波の発見から始まった怒涛の発展と興奮を将来展望も含めてお伝えできればと思います。







アインシュタインが一般相対性理論を提唱して100年目の2015年9月14日に重力波が直接検出されました。










初めて観測された重力波の波形です。波形から2つのブラックホールが合体したことが分かりました。










宇宙はブラックホールだらけ、さらに2つの中性子星の合体からの重力波も発見されました。










中性子星の合体では、同時にガンマ線バーストなど、あらゆる波長の電磁波で対応天体も発見されました。
それによってガンマ線バーストの起源や、金などの元素の起源、中性子星の硬さなど、さまざまなことが分かってきました。しかし、同時に新しい謎も出てきました。










観測されたガンマ線バーストが非常に暗かったという謎を説明するため、我々は通常のジェットを横から見ているというオフ・アクシスモデルを提唱しました。





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