第39回品川セミナー

第39回品川セミナー
平成25年8月2日(金) 17:30より
中野 伸一(生態学研究センター・センター長)

湖沼・海洋の微生物はダイナミックに生きている

 

 湖沼や海洋のプランクトンも、食物連鎖の中で生きています。プランクトンの中には、細菌、植物プランクトンや原生動物などの微生物も含まれますが、これらの微生物は微生物ループと呼ばれる食物連鎖を動かしています。少し詳しく述べますと、微生物ループでは、植物プランクトンが光合成により作りだした有機物の一部を溶存態有機物(水に溶けた状態の有機物)として排出し、この有機物を細菌が栄養物質として食べて増殖し、増殖した細菌を原生動物が食べて、さらに原生動物がミジンコ等の動物プランクトンに捕食されることによって従来の生食連鎖(植物プランクトンが動物プランクトンに食べられる食物連鎖)につながります。

 つまり、これまで単に分解者として位置づけられていた細菌や原生生物は、実は微生物ループを通じて動物プランクトンの餌資源としても貢献します。本セミナーでは、湖沼や海洋で微生物ループがダイナミックに駆動している様子を紹介するとともに、微生物ループがいかに我々の生活にも重要であるか、分かり易く紹介します。



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