第20回品川セミナー
平成24年1月6日(金) 17:30より
村山美穂(野生動物研究センター、教授)
野生動物を遺伝子から見る
2010年のレッドリストに掲載された絶滅が心配される野生動物は約1万種にのぼり、哺乳類の4分の1が絶滅の危機に瀕していると推定されています。私たちは、遺伝子解析の手法を用いて、動物の行動や生態について知ることにより、野生動物の保全に貢献したいと考えています。野外で動物を身近に観察するのは難しい場合もあります。糞などからDNAを得られれば、個体の性別、餌の内容など、観察をおぎなう情報が得られます。さらに、血縁関係、多様性の程度、など、観察だけではわからない情報も、DNAには隠されています。研究を発展させるために、まずは多数種、多数個体からなるDNAデータベース(DNA Zoo)の整備を進め、その試料を用いて、様々な遺伝子の解析を行っています。
地球規模で野生動物保全を考えるために、アジアやアフリカの研究者との連携も図っています。ガーナでは絶滅の危機に瀕している野生動物が多くいます。野生動物の狩猟を減らすためには、在来の家畜の生産性を向上させることが重要です。ガーナ大学との共同研究で、地域に生息し家畜家禽としても飼育されているアフリカタケネズミやホロホロチョウの生産性を高めることを目指して、遺伝子の研究を行っています。