第118回 京都大学丸の内セミナー「わたしたちはどのように嘘をつくのか:不正行為を生み出す脳とこころ」 から 397 日経過
今回は、世界の辺境地域に暮らし、かつては首狩り族や未開人、現在は先住民と呼ばれるような人々の暮らしのなかで進行する草の根レベルのグローバリゼーションについて考えます。事例として紹介するのは、フィリピン・ルソン島の北部山岳地帯のイフガオ州です。私が10年以上にわたり短期のフィールドワークを続けているハパオ村(330世帯1700人)は、1995年に世界遺産に登録されました。また100人以上が香港、シンガポール、台湾、中東、ヨーロッパなどへ海外出稼ぎをしています。ハパオ村の人々にとって、グローバル化に巻き込まれる/便乗する経験とは、人や物が大規模に短時間で動くことにより、結果として「時空間の圧縮」をもたらすと同時に、しかし他方で個々人の生活と意識においては、空間の拡大と時間の延伸を生み出しています。