原 千秋
はら ちあき
経済研究所 教授
Q1. どのような学生(高校)生活を送られていましたか
剣道部に属していました。昭和50年代だったので、稽古中は水を飲めないやら先輩にしごかれるやらで大変でした。文化祭では即席バンドを組み、エレキギターを担当しましたが、そもそも音楽の素養がないこともあり、今振り返ってみても恥ずかしくなるほど下手でした。でも大学受験直前にはかなり集中して勉強しました。その頃体得した学習法はその後の研究活動の礎となりましたが、それよりも勉強(その頃はまだ「学問」と言うには憚れるほど初等的内容しか知らなかった)の面白さに気がついたことが一番の収穫でした。
Q2. ご自身の研究の面白さを一言でいうと!
もやもやして分からなかったことが、ふとしたきっかけであたりまえのことのように分かるようになり、「腑に落ちる」という感覚を経験できることです。また、論文を書いている時、試行錯誤の末、「これこそが最も明快な定式化である」と思えるときもあります。あとは全く異なる環境で生まれ育った外国の研究者とも、学問という共通言語を使って交流できることです。経済学をしていなければこれほど多種多様かつ素晴らしい人々と交流することはなかったでしょうから、経済学には感謝しています。
Q3. 講演でこれを伝えたい イチオシ
経済学は人間行動を数式を使って分析する無味乾燥かつ陰鬱な学問との印象をお持ちかもしれませんが、経済活動はすべて人々の社会的営みの結果です。数学的定式化の背後にある人間臭さを感じつつ、数学的手法を使うことで議論が緻密になり、発想が広がることに気がついていただければと思います。
Q4. 進路に迷う中学生・高校生の皆様へ
多くの場合、「現実的な進路はAだが、本当に自分が追求したい進路はBである」といった感じで進路に迷われると思います。私が高校生だった頃は、地球温暖化も人工知能もパワハラも、社会問題として大きく取り上げられることはありませんでした。ですから、「こんな進路を選べば将来安定した生活を送れるだろう」といった予想を立てて進路を決めると、おそらくがっかりするでしょう。それよりも、好きで好きでたまらなくて、多くの我慢や犠牲を強いられてでもその目標に向かって頑張ることが楽しめる、そんなことを見つけてください。そしてそれを自分の仕事にしてください。自分の仕事が好きか嫌いかで、人生の満足度は大違いですから。



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